AI最適化(AIO)とは?生成AI時代に必要な新しい検索対策
2025年7月14日
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更新日:2025年 07月 28日
【監修】株式会社ジオコード SEO事業 責任者
栗原 勇一
2025年5月に米国で正式発表されたGoogle検索の「AIモード」は、従来の検索結果ページ(SERP)を“対話型パネル”へと一変させました。AIが要約と追加提案を同時に提示するため、クリックせずに疑問を解決するユーザーが急増しています。本記事では、AIモードの仕組みと機能、日本導入の見通し、そしてSEO・AIO・GEOまで含めた最新対策を総まとめ。検索流入の減少をチャンスへ転換する実践ステップを解説します。
目次
「検索結果がチャットのように会話する」。2025年5月のGoogle I/O 2025で披露されたAIモードは、検索画面上部にAI回答エリアを大きく配置し、リンク一覧を下層へ押し下げるレイアウトを採用しました。テストユーザーの行動ログでは、従来の青いリンクをクリックせず、AI回答だけで用件を済ませるゼロクリックが顕著に増えたと報告されています。
こうした変化は、広告収益と外部サイト流入が支えてきた検索エコシステムを揺るがす一方、引用枠に選ばれるページや補足リンクとして提案される動画・PDFには大きな露出機会をもたらします。今、企業サイトやメディア運営者が押さえるべきキーワードは「AIに読まれる設計」。本稿を通じて、検索体験の転換点をビジネスチャンスに変える視点を共有します。
AIモードは、2025年5月20日に米国で一般公開されたAI Overview(旧SGE)の発展版です。GoogleはGemini 2.0をバックエンドに採用し、複数のサブトピックを同時に解析して回答を生成する高度推論エンジンへ刷新したと説明しています。
項目 | 従来SERP | AI Overview | AIモード |
回答位置 | 10件リンクが主 | 上部に要約カード | 画面上半分以上を占有 |
追加質問 | なし | 3件まで提案 | 無制限・対話接続 |
出典表示 | URLとタイトル | カード内に表示 | AI回答内にインライン表示 |
特筆すべきは「質問を深掘りしながら即座に外部リンクへジャンプできる“複線導線”」です。例えば「リモートワークに最適なノートPC」を尋ねると、AIモードは推奨スペックを示すだけでなく、「価格帯別の比較表を表示しているサイト」を2~3件提案します。これにより、サイト側は専門性が高い一次情報を用意するほど引用されやすくなる 点が、SEO戦略の新たな要となります。
AIモードは「答えを読む場所」と「深掘りを始める場所」を同じパネル内で完結させた点が最大の違いです。従来検索は10本の青リンクが主役、AI Overview(旧SGE)は要約カード+リンクという二層構造でした。対してAIモードは、画面上部を占有するAI回答の途中に出典リンクをインライン挿入し、ユーザーが“リンク先を開かなくても概要を把握→必要なときだけタップ”する動線を用意しています。結果としてゼロクリック率が急増し、米ニュースサイトではGoogle経由トラフィックが半減した例も報告されています。
さらに、回答下部のフォローアップ質問ボックスは履歴を保持したまま新しい質問を重ねられるため、情報収集フローが“検索→比較→再検索”のループから、“対話で深掘り→必要箇所だけ外部サイト参照”へ転換。サイト運営側は引用されやすい一次情報と具体的比較データを用意することで、AIモード内からの誘導を確保できます。
Gemini 2.0が複数トピックを同時解析し、「リモートワーク向けノートPCで10万円以内、動画編集も可」のような複合条件にも一発回答。関連するスペック表・レビュー記事を自動で束ねるため、比較記事や専門レビューが引用元として優遇されやすくなります。
AIモードには、追加質問を提案しながら対話を継続するマルチステップ検索が組み込まれています。ユーザーが「さらに詳しく」をタップすると、AIが前の回答文脈を保持したまま次の調査を開始。Androidの「かこって検索(Circle to Search)」連携により、画像を囲む→AIモードで説明→関連商品を提案、といったアプリ不要のシームレス検索も可能になりました。
AIモードは回答文中に小さなファビコン付きリンクを最大5件まで差し込み、ホバーまたはタップでページタイトルとドメインを確認できます。この「引用枠」はE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)指標を満たすコンテンツほど優先されるとGoogleは説明。構造化データ・著者情報・一次調査データを備えたページが選抜されやすく、従来の“リンクをクリックさせるSEO”から“AIに読ませるSEO”へのシフトが鮮明になっています。
Similarweb調査ではゼロクリック比率が56%→69拡大。ニュースサイト流入は最大25%減少し、被引用枠の有無が明暗を分けています。引用される一次データ・表・動画を用意し、“AIが答える素材”を与えることが急務です。
AIモードは複合条件を一問で解決するため、従来ロングテールだった「条件×比較」KWが1回の質問で消費されます。キーワード対策は“単語”ではなくユースケース単位のFAQ設計が重要に。
AIは著者情報や一次調査を重視してソースを選定。体験談+統計の組み合わせが引用率を押し上げ、匿名・薄いまとめ記事は表示機会を失います。
How-to Schema や Product Schemaを正しく実装したページ、チャプター付きYouTube動画がインラインカードとして採用されやすい傾向。
Geminiが意図をダイナミックに再分類するため、FAQ・表・比較・体験談を1記事内に共存させ、AIが必要要素を抜き取りやすい構造を設計することが鍵です。
AIモード時代のSEOは「AIが引用したいページを作る」ことがゴールです。従来のキーワード/被リンク最適化に加え、次の三本柱で設計しましょう。
米テックメディアTechSavvyは、各記事冒頭に3行の「要点サマリー」と動画チャプターを追加した結果、AIモードの引用枠を獲得し、検索流入減少をほぼゼロに抑えました。中小EコマースのEcoHomeは、商品ページに「実測データ」「購入者レビューグラフ」「FAQ」を統合。AIモードがスペック比較の回答に同サイトを引用し、指名検索以外の流入が2割増しています。共通点は「一次情報+視覚要素+FAQ」の3点セットをページ内に完結させたことです。
Q1.AIモードが普及すると従来検索は消える?
従来の青リンク表示は残りますが、上部のAI回答が主導権を握るためクリック率は下がります。引用枠対策が必須です。
Q2.広告はどこに表示される?クリック課金は?
現行の検索広告枠がAI回答の下位に維持される予定で、課金モデルは変更なしと発表されています。
Q3.AIモードは検索履歴でパーソナライズされる?
Googleアカウントの活動情報が許可ベースで活用され、旅行・購買履歴などが回答精度に影響します。
生成AI×検索の潮流はもう後戻りしません。「AIに読ませる」設計思想を持ち、早期にPDCAを回すサイトだけが次世代SERPでもユーザーの信頼を勝ち取れます。