AI検索はメディアの敵になるのか?AI Overviewsを巡り米大手出版社がGoogleを提訴した理由
2026年1月28日
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Hakuhodo DY ONEが「AI検索白書 2026」を発表
【監修】株式会社ジオコード SEO事業 責任者
栗原 勇一
検索エンジンを取り巻く環境は、生成AIの登場によって大きく変わりつつあります。
従来の「キーワードを入力して複数のサイトを比較する」検索行動から、「AIがまとめた回答を起点に情報を得る」スタイルへと移行している中で、実際のユーザー行動はどのように変化しているのでしょうか。
本記事では、Hakuhodo DY ONEが発表した「AI検索白書2026」をもとに、AI検索の普及状況や検索行動の変化、さらにマーケティングへの影響について整理します。
結論から言えば、AI検索はすでに一般的な情報収集手段の一つとして定着し始めています。
白書によると、AI検索の利用率は、調査対象者においてプライベートで27.6%、ビジネスシーンでは29.9%に達しており、用途を問わず幅広く利用されていることが確認されています。
この背景には、生成AIサービスの急速な成長があります。
たとえばChatGPTの訪問回数は、2025年1月時点で約6.4億セッションだったものが、同年12月には約16.2億セッションへと増加しました。
依然として検索市場ではGoogleが大きなシェアを持っているものの、成長率という観点では生成AIの伸びが際立っており、検索行動の中での存在感が急速に高まっていることが分かります。
こうした変化は、ユーザーの情報収集プロセスが「複数の情報を比較する」から「AIによる要約を起点に理解する」へと移行しつつあることを示唆しています。
特に初期の情報収集段階では、AI検索の重要性が今後さらに高まると考えられます。

AI検索の普及は、従来のWebサイトへの流入にも影響を与えています。
調査では、調査回答者の約22%が「Webサイトをクリックして情報収集をする機会が減った」と回答しており、特にAI検索を頻繁に利用するユーザーほどその傾向が強く見られます。
その理由は、AIが複数の情報を統合し、要点を簡潔に提示する点にあります。
ユーザーは一度の検索で必要な情報を得られるため、従来のように複数のページを閲覧する必要がなくなり、結果としてクリック数の減少につながります。
ただし、従来の検索が完全に不要になるわけではありません。
白書では約32.8%のユーザーがAIの回答に加えて検索エンジンで追加調査を行っているとされており、AI検索と従来検索は補完関係にあるといえます。
特に情報の正確性確認や詳細な比較検討においては、引き続きWeb検索の役割が重要です。
SEOの観点で見逃せないのが、検索結果画面に表示されるAI要約の拡大です。
Googleが提供するAI Overviewsの出現率は、2025年5月には9%だったものが、同年11月には32%まで増加したとされています。
この変化は、検索結果の構造そのものを変えつつあります。
AIによる回答が上部に表示されることで、従来の自然検索結果のクリック率に影響を与える可能性が指摘されており、単に検索順位を上げるだけでは十分な流入を確保しにくくなっています。
そのため今後は、「検索結果に表示されること」だけでなく、「AIに引用・参照されること」が重要な評価軸になる可能性があります。
具体的には、情報の信頼性や専門性が明確で、構造的に整理されたコンテンツが求められるようになります。

AI検索の影響は、情報収集の段階にとどまりません。
白書によると、生成AIの回答をきっかけに商品購入や来店につながったユーザーは約7.4%にのぼり、すでに購買行動への影響が現れ始めています。
この背景には、AIによるレコメンド機能の進化があります。
2025年にはGeminiやChatGPTに一部機能としてショッピング関連の機能が追加され、検索から比較、意思決定までをAI上で完結するケースも増えつつあります。
これにより、従来の購買プロセスが変化し、AIが新たな接点として機能し始めています。
AI検索の普及は、検索行動、SEO、購買行動のすべてに変化をもたらしています。
そのため、Web担当者は従来の検索対策に加え、AI検索を前提とした戦略設計を進める必要があります。
具体的には、AIに理解されやすい構造化されたコンテンツの設計や、一次情報・専門性の強化が重要です。
また、検索流入に依存しすぎないマーケティング設計も求められるでしょう。
AI検索はまだ進化の途上にありますが、その影響力は確実に拡大しています。
「AI検索白書2026」が示すように、今後のデジタルマーケティングでは、AI検索への対応が成果を左右する重要な要素になっていくと考えられます。