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2025年7月11日
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架空ブランドはAIをだませるのか?Ahrefsの検証から見えた生成AI時代のSEO課題
【監修】株式会社ジオコード SEO事業 責任者
栗原 勇一
近年、検索体験は大きく変化しています。従来の検索エンジンだけでなく、生成AIが情報を要約して提示する「AI検索」が広がりつつあります。
その結果、企業やWebサイト運営者にとっては「AIがどの情報を信頼し、どのように回答を作るのか」が新たな関心事になっています。
こうした中、SEO分析ツールを提供するAhrefsは興味深い実験を行いました。
それは「架空のブランドを作り、生成AIがそれを本物として扱うかどうか」を検証するというものです。
結果として、AIの種類によって回答傾向に違いが見られることや、情報の書かれ方によっては誤情報が事実のように扱われる可能性があることが示されました。
本記事では、Ahrefsの検証内容をもとに、生成AI時代におけるSEOの新たな課題とWebサイト運営者が意識すべきポイントを解説します。
目次
Ahrefsの検証では、AIを使って存在しないブランドのWebサイトを作成するところからスタートしました。
対象となったのは、架空のペーパーウエイトブランドです。
商品画像、価格、ブランドストーリーなど、サイトに掲載されている内容はすべてAIで生成されたものです。
そのうえで、存在しない著名人の推薦や、実際には起きていない売上増加など、意図的に誤った前提を含む56の質問を作成しました。
そして複数の主要な生成AIに対してそれらの質問を投げ、回答内容を分析しています。
評価基準は次の三つです。
事実に基づく回答を「可(Pass)」、存在しない事実を作り上げた回答を「不可(Fail)」、架空である可能性を示唆して前提を疑った回答を「要確認(Reality Check)」と分類し、AIごとの回答傾向を比較しました。

調査の結果、生成AIの種類によって回答の信頼性や傾向に明確な差があることが分かりました。
例えば、ChatGPTは多くのケースで質問の前提を疑い、「そのような事実は確認できない」といった形で慎重な回答をする傾向が見られました。
一方でCopilotは中立的な質問には対応できるものの、質問文に誘導的な表現が含まれている場合、誤った前提に合わせて回答を生成するケースが確認されています。
またGeminiは、検索結果に十分な情報がない場合、そもそもブランドの実在性を疑う傾向が強く見られました。
これに対してPerplexityでは、架空ブランドを実在する企業と混同し、別の企業の情報を回答してしまうケースも報告されています。
特に興味深いのは、質問の書き方が回答に大きく影響する点です。
例えば質問文に「多くの専門家が称賛している」といった表現が含まれていると、AIがそれに合わせて「専門家の間で人気がある」などの内容を補完してしまうケースが確認されました。
つまり、AIは質問の前提をそのまま事実として扱ってしまうケースがあることが示唆されました。
Ahrefsはさらに、AIがどの情報源を参考にする傾向があるのかについても調査しました。
具体的には、公式WebサイトのQ&Aと、架空のブログ記事や内部関係者を名乗る人物の投稿など、複数の情報源を用意し、AIがどちらを引用するかを分析しています。
結果として、ChatGPTは比較的公式サイトの情報に基づく回答を維持する傾向がありました。
しかしGeminiやPerplexityでは、文脈がそれらしく整っている場合、架空の投稿を事実として扱うケースが確認されています。
特に、調査記事の形式をとったコンテンツはAIに信頼されやすい傾向がありました。
例えば、ブログサービスMediumに掲載された架空の調査記事は、本物の報道のような体裁を持っていたため、一部のAIがそれを事実として扱う回答を生成したケースが確認されました。
さらに調査では、AIが「あいまいな真実」と「具体的な誤情報」のどちらを選ぶかも分析されています。
その結果、一部のAIでは「あいまいな真実」よりも「具体的な誤情報」を採用する回答が見られました。
例えば「生産数は公表していない」という事実よりも、「2023年に634個生産」といった具体的な数値を含む誤情報の方が回答として採用されやすいという傾向です。

こうした結果から、生成AI時代のSEOでは「正確な一次情報をどのように提示するか」がより重要になる可能性があります。
Ahrefsの調査では、いくつかの具体的な対策も示されています。
まず重要なのは、公式サイト上で事実関係を明確に示すことです。
例えば企業の沿革や買収履歴などについて「当社はこれまで一度も買収されたことはありません」といった形で、事実と事実ではない内容を明確に記載したFAQを設けることが有効とされています。
また、事実を説明する際には断定的で具体的な表現を使うことも重要です。
日付や数値を明確に記載することで、AIが引用しやすい信頼性の高い情報として認識される可能性が高まります。
さらに、構造化データを活用したスキーママークアップの追加も有効です。
これは検索エンジンやAIがコンテンツの意味を理解しやすくする技術であり、公式情報の信頼性を高める効果が期待できます。
加えて、「業界最高」などのあいまいな表現ではなく、レビューランキングや評価指標など、具体的な根拠を伴う情報を提示することも重要です。
AIは具体的な情報を引用するケースが多いため、客観的なデータを示すことが誤解を防ぐ手段になります。
Ahrefsの検証から見えてきたのは、生成AIがすべての情報を正確に判断できるとは限らないという課題です。
質問の書き方や情報の表現方法によっては、存在しない事実が回答に反映されてしまう可能性もあります。
だからこそ、Webサイト運営者には公式情報を明確に提示し続ける姿勢が求められます。
具体的な数値や日付を伴う一次情報を整備し、AIが引用しやすい形で公開することが、誤情報の拡散を防ぐための重要な対策になります。
生成AIは業務効率化や情報収集において非常に有用なツールですが、同時に「誤情報を信じてしまう可能性」も持っています。
AI検索時代のSEOでは、その特性を理解したうえで、信頼できる情報発信を継続することがこれまで以上に重要になっていくでしょう。