DDoS攻撃対策をわかりやすく解説。被害を防ぐ考え方と実践したい基本対策

Web制作事業 責任者

【監修】株式会社ジオコード Web制作事業 責任者
坂従 一也

DDoS攻撃は、大量通信や大量リクエストによってWebサイトやWebサービスを利用しにくくする攻撃です。
見た目には「サイトが重い」「つながらない」といった障害に見えても、実際には事業継続や顧客対応へ大きな影響が広がることがあります。
IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、DDoS攻撃は組織向け脅威の一つとして挙げられています。
またCISAは、DDoS攻撃への対応ガイドで、攻撃の種類や影響、対応計画の重要性を整理しています。

DDoS攻撃が厄介なのは、システムの中へ侵入する攻撃ではなくても、サービス停止や業務遅延を引き起こしやすい点です。
さらにIPAの解説では、被害の予防策としてCDNの利用、WAFやIDS/IPS、DDoS対策サービスの導入、システムやネットワークの冗長化、代替手段の準備などが挙げられています。

つまり、DDoS攻撃への備えは、通信量をさばく技術だけではなく、可用性を維持しやすい運用をどう作るかまで含めて考える必要があります。

この記事では、DDoS攻撃の基本から、起こりやすい被害、押さえたい対策、運用体制の考え方までを一つの流れで解説します。
難しい専門用語に偏らず、実務で判断しやすい形で整理していきます。

DDoS攻撃対策の基本

DDoS攻撃は大量通信でサービスを使えなくする攻撃

DDoS攻撃は、複数の端末や機器を使って大量の通信を送りつけ、Webサイトやサーバー、ネットワーク機器の処理能力を圧迫する攻撃です。
CISAは、DDoS攻撃を、標的のリソースを消費させて正規利用者がサービスを使えないようにする攻撃として説明しています。
共同ガイダンスでは、大量トラフィックで帯域を圧迫するタイプ、接続数やセッションを枯渇させるタイプ、アプリケーション層を狙うタイプなどに整理されています。

つまり、DDoS攻撃はデータを盗むことが主目的ではなく、使えるはずのサービスを使えなくすることが主眼です。
そのため、ECサイト、予約システム、問い合わせフォーム、会員サービスのように、停止がそのまま機会損失につながる仕組みほど影響を受けやすくなります。

対策が必要なのは止まるだけでも経営影響が大きいから

DDoS攻撃対策が必要な理由は、システム停止がそのまま事業影響へつながりやすいからです。
IPAは、DDoS攻撃に対する予防策として、CDNの利用、WAFやIDS/IPS、DDoS対策サービス、冗長化、非常時用ネットワーク、代替サーバーや告知手段の整備を挙げています。
この内容からも、DDoS対策は単なる技術論ではなく、止まりにくい運用をどう作るかというテーマだとわかります。

とくに、Webが顧客接点の入口になっている企業では、停止時間の長さだけでなく、一時的な停止であっても、顧客や取引先の信頼低下につながる可能性があります。
そのため、攻撃を完全になくすことだけを目指すのではなく、影響を小さくし、早く戻せる構えを持つことが重要です。
DDoS攻撃対策で大切なのは、攻撃を完全にゼロにする発想だけではなく、受けても止まりにくく、止まっても戻しやすい状態を作ることです。

DDoS攻撃で起こりやすい被害

サイト停止や表示遅延で機会損失が起こりやすい

DDoS攻撃でまず起こりやすいのが、WebサイトやWebサービスの停止、または著しい表示遅延です。
CISAは、DDoS攻撃を、標的のリソースを消費させて正規利用者がサービスを利用できないようにする攻撃だと説明しています。
攻撃の目的は情報を盗むことではなく、使えるはずのサービスを使えなくすることにあります。

そのため、ECサイトなら購入機会を失いやすくなります。
予約サイトなら受付が止まりやすくなります。
問い合わせフォームや会員サービスも、利用者から見ると「つながらないサービス」になってしまいます。
見た目には一時的な障害に見えても、事業面では機会損失へ直結しやすい点が厄介です。

業務遅延や対応工数の増加が発生しやすい

DDoS攻撃の影響は、Webサイトが重くなることだけでは終わりません。
障害が起きると、社内では原因確認、委託先との連絡、ログの確認、復旧対応、利用者への案内などが必要になり、通常業務の手が止まりやすくなります。
IPAは、DDoS攻撃への備えとして、インシデント対応体制の整備や、Webサイト停止時のマニュアル作成、代替サーバーや告知手段の整備を挙げています。

JPCERT/CCも、Webサイトへのサイバー攻撃に備える情報の中で、DDoS対策や対応体制の確認、ログ保存方法や緊急時の手順確認が重要だと案内しています。
攻撃そのものより、準備不足による対応の混乱が被害を大きくすることもあります。

顧客や取引先からの信頼低下につながりやすい

DDoS攻撃では、情報漏えいのような直接被害が起きなくても、利用者側には「このサービスは不安定だ」という印象が残りやすくなります。
つながらない時間が長いほど、ユーザーは別のサービスへ移りやすくなります。
取引先にとっても、必要なタイミングでアクセスできない状態が続けば、運営体制そのものへの不信感につながる可能性があります。

IPAがDDoS攻撃を組織向け脅威の一つとして継続的に挙げているのは、技術的な停止だけでなく、事業継続や信用への影響が無視できないからです。
停止時間そのものより、「止まりやすい会社」という印象が残ることのほうが、長期的には重い場合もあります。

攻撃の踏み台や周辺機器の問題が絡むこともある

DDoS攻撃は、外から大量通信を受ける被害者の立場だけで考えがちです。
ただ、JPCERT/CCは、オープンリゾルバーのように設定不備のあるDNSサーバーがDDoS攻撃の踏み台として悪用されることがあると案内しています。
つまり、自社が被害を受けるだけでなく、設定不備のある機器やサービスが他者攻撃の一部として使われるリスクもあります。

この点を踏まえると、DDoS対策は受ける側の防御だけでは足りません。
自社の公開サーバーやネットワーク機器が、攻撃に悪用されにくい状態になっているかも確認する必要があります。
DDoS攻撃の被害は「重い」「落ちる」だけではなく、機会損失、対応負荷、信用低下まで広がりやすいところにあります。

DDoS攻撃対策で押さえたい基本施策

CDNやDDoS対策サービスを活用して通信を分散させる

DDoS攻撃対策でまず押さえたいのが、通信を一カ所へ集中させないことです。
IPAは、DDoS攻撃の予防策としてCDNの利用やDDoS対策サービスの導入を挙げています。
CISAのガイダンスでも、通信を吸収・緩和できる外部サービスの活用が重要な選択肢として扱われています。
大量通信を自社サーバーだけで受け止めようとすると、耐えきれずに停止しやすくなるためです。

CDNや専用の対策サービスを利用すると、トラフィックを分散しやすくなります。
異常な通信を前段でさばきやすくなるため、サービス本体への負荷を抑えやすくなります。
すべてを自社設備だけで守ろうとするより、外部の緩和基盤を活用するほうが現実的な場面は少なくありません。

WAFやIDS/IPSを活用して異常通信を検知・制御しやすくする

DDoS攻撃対策では、ただ通信量を受け止めるだけでなく、異常な通信を見分けて制御しやすくすることも重要です。
IPAは、DDoS攻撃への備えとしてWAFやIDS/IPSの導入を挙げています。
とくにアプリケーション層を狙う攻撃では、単純な帯域対策だけでは不十分になりやすいため、内容を見ながら制御できる仕組みが役立ちます。

ここで大切なのは、ツールを入れること自体ではありません。
通常時の通信傾向を把握し、異常なアクセスを見つけたときにどのように制御するかを決めておくことです。
通常時の通信傾向を把握できていないと、異常発生時の判断が難しくなります。

冗長化して一部が止まっても全体停止を避けやすくする

DDoS攻撃対策は、攻撃を防ぐことだけでは終わりません。
影響を受けても全体停止しにくい構成を作ることも重要です。
IPAは、システムやネットワークの冗長化を予防策として挙げています。
これは、一部に負荷が集中しても、他の経路や構成でサービスを維持しやすくする考え方です。

単一サーバーだけで運用している。
回線や拠点が一つしかない。
バックアップ経路がない。
こうした状態では、攻撃を受けたときにそのまま全面停止へつながりやすくなります。
反対に、構成を分散しておくと、被害を局所化しやすくなります。

代替手段や告知方法を平時から決めておく

DDoS攻撃対策で見落とされやすいのが、技術対策以外の備えです。
IPAは、代替サーバーや代替ネットワーク、Webサイト停止時の告知手段の準備を予防策として挙げています。
また、インシデント発生時に備えたマニュアル作成の必要性も示しています。

サイトが止まったとき、どこで状況を案内するのか。
問い合わせ受付をどう切り替えるのか。
社内連絡をどう回すのか。
こうした流れが決まっていないと、障害そのものより混乱のほうが大きくなりやすくなります。
DDoS攻撃では、落ちない工夫と同じくらい、落ちたときの動き方も重要です。

踏み台にされないための設定確認も必要になる

DDoS攻撃対策というと、外から受ける攻撃への防御に意識が向きがちです。
ただ、JPCERT/CCは、オープンリゾルバーのような設定不備のあるDNSサーバーが、DDoS攻撃の踏み台として悪用されることがあると案内しています。
このため、自社の公開機器やサービスが他者攻撃に使われにくい状態かを確認することも大切です。

不要な公開設定が残っていないか。
外部へ広く開いた機能がないか。
DNSや公開サーバーの設定が適切か。
こうした確認は、受け身の防御だけではなく、加害側に回らないための基本対策でもあります。
DDoS対策は、自社を守ることと、攻撃に加担しないことの両方を含みます。

DDoS攻撃に備えるための運用体制と初動対応

連絡体制と判断フローを平時から決めておく

DDoS攻撃に備えるうえで重要なのは、障害が起きてから誰に連絡するかを考えないことです。
CISAは、DDoS対応では事前に対応計画を整備し、関係者の連絡先や役割を明確にしておくことが重要だと案内しています。
またIPAも、インシデント対応体制の整備や、Webサイト停止時のマニュアル作成を予防策として挙げています。

社内のWeb担当だけで完結するとは限りません。
インフラ担当、情報システム、委託先、クラウド事業者、経営層、広報まで関わることがあります。
そのため、誰が一次判断するのか。
誰が外部事業者へ連絡するのか。
誰が社内共有を行うのか。
この流れを平時から決めておくことが重要です。

通常時の通信状況を把握して異常に気づきやすくする

DDoS攻撃の初動で難しいのは、単なるアクセス増加と攻撃を見分けることです。
そのため、平時から通常時の通信量やアクセス傾向を把握しておく必要があります。
CISAのガイダンスでも、通常のトラフィックを理解しておくことが、異常の検知や対応判断に役立つと示されています。

普段どの時間帯にアクセスが増えるのか。
どのURLへ負荷が集まりやすいのか。
急増したときに正規流入の可能性があるのか。
こうした基準が見えていると、異常発生時の判断がしやすくなります。
平時を知らないままでは、異常時にも動きにくくなります。

攻撃発生時は原因特定より影響抑制を優先する

DDoS攻撃らしい兆候が出たとき、最初から原因の完全特定を目指すと対応が遅れやすくなります。
まず優先したいのは、サービス影響をどこまで抑えるかです。
CISAは、攻撃への対応では、被害軽減のためにサービスプロバイダーや緩和事業者と連携し、通信制御や迂回などを早めに進める重要性を示しています。

回線事業者やCDN事業者へ連絡する。
DDoS対策サービスの設定を強化する。
一部機能を制限して本体サービスを守る。
このように、まずは影響を広げない判断が必要です。
詳細な分析は、そのあとでも進められます。

利用者への告知手段を別に持っておく

DDoS攻撃では、自社サイトそのものが見られなくなることがあります。
そのため、障害情報を自社サイトだけで伝えようとすると、利用者へ何も伝わらない状態になりやすくなります。
IPAは、Webサイト停止時の告知手段の整備や代替手段の準備を予防策として挙げています。

公式SNS、ステータスページ、別ドメインのお知らせページ、メール配信など、止まった本体以外で情報を出せる準備があると混乱を抑えやすくなります。
どこで状況を案内するのか。
復旧見込みをどう伝えるのか。
問い合わせ先をどう示すのか。
このあたりを事前に決めておくことが大切です。

事後振り返りまで行って次に備える

DDoS攻撃への対応は、復旧したら終わりではありません。
CISAは、インシデント対応後に教訓を整理し、計画や対策を見直すことの重要性を示しています。
IPAの考え方でも、予防策と対応体制を継続的に整えることが前提になっています。

どこで検知できたのか。
初動は遅れなかったか。
委託先との連携に問題はなかったか。
告知手段は機能したか。
こうした点を振り返ることで、次回の対応精度を高めやすくなります。
DDoS攻撃対策は、設備を入れることだけでなく、起きたときに迷わず動ける運用を整えることが重要です。

ジオコードのセキュリティプランで、サイトのリスクを根本から見直す

サイトのセキュリティ対策は、一度設定して終わるものではありません。更新漏れや設定ミス、監視不足といった小さな隙が積み重なることで、不正アクセスや改ざんといった被害につながる可能性があります。

日々の運用の中で対策を継続できているか、現状の設定に見落としがないかを定期的に見直すことが重要です。しかし、専門知識が必要な領域も多く、社内だけで適切に管理し続けるのは簡単ではありません。

株式会社ジオコードセキュリティプランでは、サイトの現状をもとにリスクを洗い出し、必要な対策の提案から実施、さらに継続的な監視までを一貫してサポートしています。

単なる診断にとどまらず、実際の運用に合わせた改善を行うことで、対策が形だけで終わらない実効性のあるセキュリティ体制を構築することが可能です。

現在の対策に不安がある場合や、何から見直すべきか判断できない場合は、一度専門家によるチェックを受けることで、見えていなかったリスクに気づける可能性があります。

サイトの安全性は、事前の対策で大きく変わります。問題が発生してから対応するのではなく、被害を防ぐための準備として、今の状態を見直してみてはいかがでしょうか。

まとめ

DDoS攻撃対策は止まりにくさと戻しやすさを整えることが重要

DDoS攻撃は、大量の通信を送りつけることで、WebサイトやWebサービスを使えなくすることを目的にした攻撃です。
CISAは、DDoS攻撃を、標的のリソースを消費させて正規利用者がサービスを利用できないようにする攻撃だと説明しています。
またIPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、DDoS攻撃は組織向け脅威の一つとして挙げられています。
つまり、DDoS攻撃は単なる通信障害ではなく、事業継続へ影響しやすい現実的なリスクです。

実際の被害では、サイト停止や表示遅延による機会損失だけでなく、社内対応工数の増加、顧客や取引先からの信頼低下、告知や問い合わせ対応の負担まで広がりやすくなります。
さらにJPCERT/CCは、設定不備のあるDNSサーバーなどが、DDoS攻撃の踏み台として悪用されることがあると案内しており、被害を受ける側だけでなく、加担しないための確認も重要だとわかります。

対策としては、CDNやDDoS対策サービスの活用、WAFやIDS/IPSによる異常通信の把握、システムやネットワークの冗長化、代替手段や告知方法の整備が基本になります。

IPAも、DDoS攻撃への予防策として、CDNの利用、WAFやIDS/IPS、DDoS対策サービス、冗長化、代替サーバーや代替ネットワーク、インシデント対応体制の整備などを挙げています。
またCISAは、対応計画の整備、通常時の通信傾向の把握、攻撃時の迅速な被害軽減、事後の振り返りが重要だと示しています。

DDoS攻撃対策で本当に重要なのは、攻撃を完全に防ぎ切ることだけではありません。
大量の通信を受けても、サービス停止や性能低下を起こしにくい構成を整えること。
万が一影響が出ても、できるだけ早く復旧できる体制を持つこと。

さらに、利用者や取引先へ混乱なく状況を案内できる運用を整えておくことも重要です。
つまりDDoS攻撃対策は、防御設備を導入するだけでは不十分です。
「止まりにくくすること」と「止まっても戻しやすくすること」を、技術面と運用面の両方から整えることが重要になります。