【監修】株式会社ジオコード Web広告事業 責任者
新井 政樹
Web広告運用の仕事は「企業の売上を作る」投資家である
「Web広告の仕事」と聞いて、あなたはどのようなイメージを持ちますか? 華やかなクリエイティブを作る仕事でしょうか? それとも、パソコンに向かって黙々とデータを入力する仕事でしょうか?
どちらも間違いではありませんが、本質ではありません。Web広告運用職(広告運用コンサルタント)の仕事を一言で定義するなら、それは「企業の予算を預かり、売上というリターンを最大化する投資家」です。
クライアントから「この100万円を使って、できるだけ多くの商品を売ってほしい」と託されたとき、あなたならどうしますか? 「Googleで検索している人にアプローチしようか」「Instagramで20代女性に動画を見せようか」「それともTikTokでバズを狙おうか」—。
無数にある選択肢の中から最適な戦略を選び、実行し、結果を見てまた次の手を打つ。この「仮説検証」のプロセスこそが、広告運用の仕事です。 管理画面の操作は、そのための手段に過ぎません。
本記事では、未経験からWeb広告業界を目指す方、あるいは特定の媒体しか経験がなくスキルを広げたい方に向けて、リスティング広告からSNS広告まで、主要な広告運用の仕事内容を徹底的に解説します。それぞれの媒体で「何をするのか」「どんなスキルが身につくのか」を理解し、あなたのキャリアに最適な選択肢を見つけてください。
Web広告運用の仕事は「企業の売上を作る」投資家である
単なる「入稿作業」ではない!仕事の本質的価値
広告運用の仕事を「設定代行」だと勘違いしていると、ミスマッチが起きます。 「クライアントに言われた通りのキーワードを入稿しました」「予算通りに配信しました」。これはAIでもできる作業です。
プロの運用者に求められるのは、「ビジネスを成功させること」です。 例えば、英会話スクールの広告を担当するとします。単に「英会話」というキーワードで広告を出すだけでなく、「朝活で英語を学びたいビジネスマン」と「子供に英語を習わせたい親」では、刺さるメッセージも、配信すべき時間帯も、見る媒体も全く異なります。
ターゲットの生活スタイルや悩みを深く想像し、「誰に、何を、どう届けるか」を設計する。そして、使った広告費以上の利益を生み出す。このビジネス貢献性の高さこそが、広告運用職の最大の価値であり、市場価値が高騰している理由です。
「運用」とは何か?PDCAサイクルの具体例
「運用する」とは、具体的に何をしているのでしょうか。それはPDCAサイクルを高速で回すことです。
- Plan(仮説): 「今月は新生活シーズンだから、『初心者歓迎』という文言を入れた広告文がクリックされるはずだ」
- Do(実行): 実際に広告文を作成し、入稿・配信する。
- Check(分析): 「予想通りクリック率は上がったが、コンバージョン(申込)には繋がらなかった」というデータを検証する。
- Action(改善): 「クリックはされるが申込がないということは、広告文と飛び先のページ(LP)の内容がズレているのかもしれない。次はLPのトップ画像を広告文に合わせて変更しよう」
このように、毎日データを見ながら「次の打ち手」を考え続けるのが、現場のリアルな仕事内容です。
【基礎編】リスティング広告(検索連動型広告)の仕事内容
Web広告の基本にして王道、それが「リスティング広告(検索連動型広告)」です。GoogleやYahoo!の検索結果画面に表示されるテキスト広告を指します。
Google広告・Yahoo!広告運用の特徴
リスティング広告は、ユーザーが自らキーワードを検索した瞬間に表示されるため、「今すぐ欲しい」「今すぐ解決したい」という意欲が高いユーザー(顕在層)にアプローチできます。Web広告の中で最も獲得効率が良いとされ、多くの企業が最初に取り組む施策です。
具体的な仕事内容
- キーワード選定(最重要): ユーザーがどんな言葉で検索するかを想像します。「転職」だけでなく、「転職 おすすめ 20代」「仕事 辞めたい」など、数千〜数万通りのキーワードをリストアップし、入札する言葉を選びます。
- 広告文(TD)作成: 検索結果に表示される見出しと説明文を作ります。「限定キャンペーン中」「実績No.1」など、限られた文字数でクリックしたくなるコピーを考えます。
- 入札調整: 1クリックあたりいくら払うか(クリック単価)を調整します。競合他社とのオークション形式で掲載順位が決まるため、予算と順位のバランスを管理します。
この仕事の魅力とスキル
- 魅力: ユーザーの「悩み(検索意図)」が明確なため、ロジックが通りやすいです。「このキーワードで検索する人は、これを求めているはずだ」という仮説が当たった時の快感は格別です。
- 求められるスキル: 論理的思考力と言語化能力です。なぜそのキーワードを選んだのか、なぜその広告文なのかを論理的に説明する力が身につきます。
【応用編】SNS広告・ディスプレイ広告の仕事内容(媒体別解説)
検索行動をしていないユーザー(潜在層)にアプローチするのが、SNS広告やディスプレイ広告です。媒体ごとに文化やアルゴリズムが全く異なるため、仕事内容もガラリと変わります。
Meta広告(Facebook/Instagram)運用の仕事
FacebookとInstagramは同じ管理画面(Meta広告マネージャ)で運用します。
- 特徴: 実名登録制のため、ユーザーの属性データ(年齢、性別、居住地、興味関心)が非常に正確です。また、MetaのAIによる自動最適化(ターゲティング自動化)の精度が極めて高く、「AIにどう学習させるか」が運用の鍵を握ります。
- 仕事内容: 現在のMeta広告運用は、細かいターゲティング設定よりも、「クリエイティブ(画像・動画)の検証」が業務の9割を占めます。AIはクリエイティブを見て「誰に出すべきか」を判断するからです。「人が映っている画像」と「商品だけの画像」、「短尺動画」と「長尺動画」など、多種多様な素材を入稿し、勝ちパターンを見つけ出します。
- 身につくスキル: デザインディレクション力です。自分でデザインする必要はありませんが、デザイナーに対して「こういう訴求の画像を作ってほしい」と指示を出す力が求められます。
LINE広告運用の仕事
- 特徴: 月間利用者数9,600万人を超える、日本の生活インフラです。他のSNSをやっていない層にも届く圧倒的なリーチ力が強みですが、その分、ターゲティングが広くなりがちです。
- 仕事内容: 幅広い層(マス層)が見るため、専門用語を使わない分かりやすいクリエイティブが求められます。また、広告をクリックした後に、Webサイトに飛ばすのではなく「LINE公式アカウント」に友だち追加させてから教育する、といった導線設計も運用の重要な一部です。
- 身につくスキル: マンガ広告や記事LPなど、読み物コンテンツとしての広告構成力や、CRM(顧客管理)視点でのマーケティング設計力が身につきます。
TikTok広告運用の仕事
- 特徴: 「広告らしくない広告」が好まれる独自の文化があります。作り込まれた綺麗なCMよりも、スマホで撮影したようなUGC(ユーザー生成コンテンツ)風の動画が成果を出しやすいです。
- 仕事内容: 最初の1〜2秒でいかに引き込むか、という「動画構成」が命です。流行りの楽曲やエフェクト、ミーム(流行ネタ)を取り入れながら、高速で動画を制作・入稿し続けます。クリエイティブの消耗が激しいため、スピード感が求められます。
- 身につくスキル: ショート動画の構成力とトレンド感度です。若年層のインサイトを掴む感覚が養われます。
激務って本当?広告運用職の「やりがい」と「厳しさ」のリアル
「Web広告業界は激務だ」という噂を聞いたことがあるかもしれません。確かに楽な仕事ではありませんが、それを上回る「やりがい」があります。
ここが「やりがい」:数字で証明される自分の実力
- 完全実力主義: 広告運用の世界では、「数字」が絶対的な共通言語です。年齢や社歴が浅くても、「CPAを半分にしました」「売上を2倍にしました」という実績があれば、誰からも文句を言われません。若くして高い年収やポジションを得ることが可能です。
- 経営への貢献実感: クライアントの社長から「今月、過去最高益が出たよ。ありがとう」と直接感謝されることがあります。自分の仕事が、他社の経営を支え、成長させているという実感は、何物にも代えがたい喜びです。
- スキルが資産になる: 身につけた運用スキルやマーケティング思考は、どの業界でも通用するポータブルスキル(持ち運び可能な能力)です。将来、事業会社に転職するもよし、フリーランスとして独立するもよし、キャリアの選択肢が無限に広がります。
ここが「厳しさ」:正解のない問いと変化の速さ
- 変化への対応: Googleのアルゴリズム変更、Cookie規制、新しいSNSの台頭など、ルールが頻繁に変わります。「一度覚えたら終わり」ではなく、一生勉強し続ける覚悟が必要です。
- 正解がない: 「A社で成功した方法が、B社では全く通じない」ことが日常茶飯事です。常に仮説を立て、失敗し、修正するという泥臭い作業の繰り返しです。数字を見るのが嫌いな人や、ルーチンワークを好む人には苦痛かもしれません。
未経験から目指すには?向いている人と必要なスキル
未経験から広告運用職を目指す場合、特別な資格は必要ありませんが、「適性」はあります。
向いている人の共通点:ロジカル×好奇心
- 「なぜ?」を突き詰めるのが好きな人: 結果に対して「運が良かった」で終わらせず、「なぜ良かったのか」を論理的に分析できる人。
- 新しいモノ好きな人: 新しいアプリが出たらとりあえず触ってみる、SNSのトレンドを追うのが苦にならない人。
- 地道な作業ができる人: 華やかな戦略の裏には、膨大なキーワード選定や入稿作業があります。細かい作業を正確にこなせる几帳面さも必要です。
必須ではないが、あると有利な「ポータブルスキル」
以下のスキルがあれば、面接でのアピール材料になります。
- Excel / Googleスプレッドシート: VLOOKUP関数やピボットテーブルが使えると、入社後の分析業務がスムーズです。
- 営業・接客経験: 「顧客が何を求めているか」を考える思考プロセスは、そのまま広告のターゲティングやクリエイティブ作成に活かせます。
- ブログやSNSの発信経験: 「どうすれば見てもらえるか」を試行錯誤した経験は、立派なマーケティング活動です。
キャリアを最大化する「会社選び」のポイント
最後に、これから求人を探す方へ、キャリアを成功させるための「会社選びの視点」をお伝えします。
「媒体専任」か「クロス運用」か
大手代理店などでは、「君はGoogle広告担当」「君はFacebook広告担当」と役割が固定されることがあります。専門性は高まりますが、「Webマーケティング全体」が見えなくなるリスクがあります。
市場価値が高いのは、「クロス運用(全媒体運用)」ができる人材です。 「検索している人にはGoogleで、認知していない人にはInstagramで」と、媒体を横断して予算配分できるスキルこそが、クライアントの本質的な課題を解決します。会社を選ぶ際は、一人が複数媒体を担当できる環境かを必ず確認しましょう。
「広告だけ」か「Web全体」か
これが最も重要なポイントです。 広告運用スキルだけでは、成果改善に限界があります。「広告で集客した後のページ(LP)」が魅力的でなければ、商品は売れないからです。
- 広告しかできない会社: 「LPが悪いので直してください」とクライアントに言うことしかできません。
- Web制作やSEOも持っている会社: 「広告のデータを元に、社内のデザイナーと連携してLPを改修します。さらにSEOチームと連携して、指名検索も強化しましょう」と提案できます。
もしあなたが、「媒体の枠も、広告の枠も超えた、本質的なマーケター」になりたいのであれば、広告・制作・SEOをすべて内製化している企業を選ぶべきです。
例えば、株式会社ジオコードはその代表的な一例です。
ジオコードという選択肢
ジオコードは、Web広告運用、Webサイト制作、SEO対策の3つを自社で完結させる「Webマーケティングの三位一体」サービスを提供しています。
- 全媒体対応: Google, Yahoo!, Meta, LINE, TikTokなど、主要媒体を網羅。
- 一気通貫の裁量: 運用担当者が、社内の制作部隊と連携してLP改善まで主導できます。
- 上場企業の安心感: 東証スタンダード上場企業として、安定した環境で挑戦できます。
「まずは広告運用の基礎を固めたい」という方も、「将来はWeb全体を設計できるコンサルタントになりたい」という方も。 ジオコードには、その両方のキャリアパスを実現できるフィールドがあります。
まとめ:Web広告運用は、ビジネスを動かす最強のスキル
この仕事で得られる将来性
AIが進化しても、「誰に、何を届けるか」という戦略を描く仕事はなくなりません。むしろ、ツールが便利になればなるほど、それを使いこなす人間の「戦略構築能力」と「全体設計力」の価値は高まります。
Web広告運用の仕事を通じて得られるスキルは、これからのデジタル社会を生き抜くための最強の武器になります。
プロフェッショナルへの第一歩を、ここから
記事を読んで、「難しそうだけど面白そうだ」「自分の手でビジネスを動かしてみたい」と感じたなら、あなたは広告運用職に向いています。
プロフェッショナルへの第一歩を、どこで踏み出すか。 もし、多様な媒体と手法を学び、本質的なマーケティング力を身につけたいなら、ぜひジオコードの門を叩いてください。
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