【監修】株式会社ジオコード Web広告事業 責任者
新井 政樹
Web広告求人が急増中!しかし「職種名」に騙されてはいけない
スマートフォンの普及とデジタルシフトにより、Web広告(インターネット広告)市場はテレビなどのマスコミ四媒体を抜き、日本の広告費の過半数を占める巨大産業へと成長しました。これに伴い、dodaやリクルートなどの転職サイトでも、「Web広告」「デジタルマーケティング」関連の求人が急増しています。
「成長業界で働きたい」「専門スキルを身につけたい」と考える求職者にとって、今はまさに売り手市場のチャンスです。しかし、この業界への転職には一つ、大きな落とし穴があります。
それは、「職種名の定義が企業によって曖昧である」という点です。
例えば、「アカウントプランナー」という職種。ある会社では「高度な戦略を練るマーケター」を指しますが、別の会社では「テレアポ中心の営業職」を指すこともあります。また、「Webマーケター」という求人に応募したら、実際は「ひたすらバナー画像を入稿するだけの事務作業」だったというミスマッチも後を絶ちません。
本記事では、Web広告業界への就職・転職を検討している方に向けて、主要な職種(運用・企画・プランナー)の正しい仕事内容と、「代理店」と「インハウス(事業会社)」の働き方の違いを、業界の構造からフラットに解説します。
カタカナ用語に惑わされず、あなたが本当に活躍できるポジションを見つけるための「羅針盤」としてご活用ください。
【職種図鑑】主要3職種の仕事内容・年収・求められるスキル
Web広告業界の求人は多岐にわたりますが、大きく分けると「営業・企画系(フロント)」「運用・コンサル系(ミドル)」「媒体・仕入れ系(バック)」の3つに分類できます。ここでは、求人数が多い主要3職種について深掘りします。
1. アカウントプランナー(営業・企画)の求人
求人サイトで最もよく見かける職種の一つです。企業によっては「企画営業」「広告営業」「アカウントエグゼクティブ」とも呼ばれます。
- 役割(Mission):
クライアント(広告主)と直接対話し、彼らが抱える経営課題や集客課題をヒアリングします。その課題に対し、「Google検索広告を打ちましょう」「Instagramで動画広告を配信しましょう」といった広告戦略を企画・提案し、予算を獲得するのが主な仕事です。契約後は、社内の運用担当者と連携し、プロジェクトの進行管理(ディレクション)も担います。
- 仕事のリアル:
「売って終わり」のスタイルと、「伴走型」のスタイルに二極化しています。前者は新規開拓のテレアポが中心ですが、後者は既存顧客との定例会や深耕営業が中心となり、マーケティングの深い知識が求められます。市場価値が高いのは後者です。
- 求められるスキル:
- ヒアリング能力: 顧客が言葉にできない潜在的な課題を引き出す力。
- 提案・プレゼン力: 難しいデジタル用語を、経営者にも分かる言葉で翻訳して伝える力。
- 向いている人:
人と話すのが好きな人。数字目標(ノルマ)を達成することに燃える人。無形商材の提案に興味がある人。
2. Web広告運用コンサルタント(運用・分析)の求人
「運用担当」「トレーディングデスク」「アドオプティマイザー」とも呼ばれます。近年、専門職として求人ニーズが急上昇しており、未経験からの採用も活発です。
- 役割(Mission):
アカウントプランナーが獲得した案件に対し、実際に広告配信プラットフォーム(Google Ads, Meta Ads等)の管理画面を操作して運用する仕事です。入札単価の調整、キーワードの選定、A/Bテストの実行、レポート作成、そして改善提案を行います。
- 仕事のリアル:
「運用」という言葉から「ルーチンワーク」を想像されがちですが、実際は「仮説検証の連続」です。「なぜCPAが高騰したのか?」「次はどんなクリエイティブを当てるべきか?」を常にデータから読み解くため、高度な論理的思考が求められます。
- 求められるスキル:
- 計数感覚: CVR, CTR, ROASといった指標の関係性を瞬時に理解する力。
- 論理的思考力: 事象(結果)から要因を分解し、ネクストアクションを導き出す力。
- 向いている人:
数字に強い人。地道な改善作業が苦にならない人。正解のない問いに対して仮説を立てるのが好きな人。
3. メディアプランナー(媒体選定・調整)の求人
大手代理店や、特定の媒体に強い代理店に多い職種です。「メディアバイヤー」と呼ばれることもあります。
- 役割(Mission):
クライアントのターゲット層(例:20代女性、ビジネス層など)に合わせて、「どの媒体に、いくら予算を配分するか」という全体設計を行います。また、Yahoo!のブランドパネルや、SmartNewsのトップ面など、純広告(予約型広告)の枠を媒体社から買い付ける仕入れ業務も担当します。
- 仕事のリアル:
Web広告だけでなく、時にはタクシー広告やデジタルサイネージなど、オフライン媒体も含めたクロスチャネルの提案を行うこともあります。媒体社(GoogleやLINEなど)の担当者と密に連携し、最新の仕様やベータ版機能などの情報を仕入れる情報収集能力が重要です。
- 求められるスキル:
- 情報収集能力: 日々アップデートされる各媒体のアルゴリズムや新機能をキャッチアップする力。
- 交渉力: 媒体社と交渉し、有利な条件で枠を確保する力。
- 向いている人:
新しいトレンドやガジェットに敏感な人。広く浅く、多様なメディア知識を持ちたい人。
【環境比較】Web広告代理店 vs インハウス(事業会社)の求人事情
職種と同じくらい重要なのが、「どこで働くか」です。大きく分けて「広告代理店(支援会社)」と「インハウス(事業会社のマーケティング部)」があります。
Web広告代理店のメリット・デメリット
複数のクライアント企業の広告運用を代行する企業です。
- メリット:
- 圧倒的な経験値: 美容、不動産、人材、ECなど、多様な業種・規模の案件を同時に担当するため、スキルの習得スピードが圧倒的に速いです。
- 最新情報: 媒体社とのパートナーシップにより、最新機能や事例がいち早く入ってきます。
- 切磋琢磨: 周囲もプロのマーケターであるため、ナレッジの共有が活発です。
- デメリット:
- マルチタスク: 複数のクライアントを同時に担当するため、業務量が多くなりがちです。
- クライアントワーク: 成果に対するプレッシャーや、急な依頼への対応が必要です。
- 求人エリア: 媒体社やテック企業が集中しているため、「Web広告 求人 東京」での募集が圧倒的に多いですが、最近は地方拠点の求人も増えています。
インハウス(事業会社)のメリット・デメリット
自社の商品やサービスを宣伝する部門です。
- メリット:
- 深い関与: 自社サービスへの愛着を持ち、広告だけでなく商品開発やCRMまで一気通貫で関われます。
- コントロールしやすさ: 納期や予算を自社で決定できるため、代理店に比べるとワークライフバランスを調整しやすい傾向にあります。
- デメリット:
- スキルの固定化: 特定の商材、特定の手法しか経験できないため、市場価値が偏るリスクがあります。
- 情報の孤立: 代理店ほど最新情報が入ってこず、井の中の蛙になりやすいです。
- 教育体制: 社内に専門家が少ないことが多く、未経験者の場合、独学を強いられることがあります。
キャリアの正解ルートは「代理店 → インハウス」か?
一般的に、市場価値の高いマーケターのキャリアパスとして王道なのは、「まずは代理店で数年間修行し、多様なスキルを身につけてから、インハウスへ転職する(または代理店でスペシャリストを極める)」というルートです。
未経験からいきなりインハウスに入ると、教育体制の不備や経験の偏りにより、成長が鈍化するリスクがあります。「まずは代理店で武者修行」というのは、非常に合理的な戦略と言えます。
失敗しない求人選び:長く活躍できる会社の「3つの条件」
求人票を眺めるだけでは分からない、入社後に「この会社で良かった」と思える優良企業の条件を3つ挙げます。
条件1:分業されすぎていないか?(歯車化のリスク)
特に大手代理店に多いのが、業務の細分化です。「営業は売るだけ」「運用は入稿するだけ」「レポートは専任部隊」と完全に分断されている環境では、全体像が見えなくなります。
- 推奨環境:
営業と運用が密に連携している、あるいは一人が一気通貫で担当する環境です。「クライアントの課題を聞き、自分で運用し、結果を報告する」というサイクルを回せる環境こそが、マーケターとしての足腰を鍛えます。
条件2:広告以外の「武器」を持っているか?(将来性)
Web広告業界は変化が激しく、AIの自動化により「単なる運用代行」の価値は下がり続けています。これからの時代、広告しかできない会社は淘汰されるリスクがあります。
- 推奨環境:
広告運用だけでなく、「Web制作(LP制作)」や「SEO対策」の部隊を自社で持っている会社です。
広告で集客しても、受け皿となるLPが悪ければ成果は出ません。「広告×制作×SEO」を統合的に提案できる会社であれば、本質的なマーケティングスキルが身につき、AI時代でも生き残れる人材になれます。
条件3:評価制度は「個人のスキル」を見ているか?
「チームで頑張ろう」という言葉は美しいですが、給与においては「個人の成果」が評価されるべきです。
- 推奨環境:
会社の業績だけでなく、個人の運用実績やプロセスが給与・賞与に反映される制度(インセンティブなど)がある会社です。特に運用職は数字で成果が見えやすいため、透明性の高い評価制度を持つ企業を選ぶことで、モチベーション高く働き続けることができます。
まとめ:自分に合った職種と環境で、Web広告のプロを目指す
職種選びは「自分の得意」×「市場の需要」
Web広告業界の求人は多種多様ですが、まずはご自身の適性を見極めましょう。
- 人と話し、課題を引き出すのが好きなら「アカウントプランナー」
- 数字と向き合い、仮説検証を繰り返すのが好きなら「運用コンサルタント」
- 新しい情報やトレンドを追うのが好きなら「メディアプランナー」
もし迷っているなら、まずは「運用コンサルタント」から入ることをおすすめします。運用の現場を知っていることは、将来プランナーやマーケティング責任者になる上でも、最も強力な武器になるからです。
最後に:成長と安定を両立する選択肢
最後に、これから企業選びをするあなたへ、一つの選択肢をご提案します。
もしあなたが、
「運用だけでなく、制作やSEOも含めた本質的なWebマーケティングを学びたい」
「分業された歯車ではなく、クライアントと直接向き合う手触り感のある仕事がしたい」
「ベンチャーの成長環境と、上場企業の安定基盤の両方が欲しい」
そのように考えているなら、株式会社ジオコードは、あなたのキャリアにとって理想的な環境かもしれません。
ジオコードは、Web広告・制作・SEOをすべて内製化する「三位一体」のサービスを提供しており、職種の垣根を超えた統合的なスキルが身につきます。また、成果に報いるインセンティブ制度や、未経験者をプロに育てる研修体制も充実しています。
数ある求人の中から、あなたが「ここだ」と思える一社に出会えることを願っています。もしそれがジオコードであれば、私たちは全力であなたを歓迎します。
[▶︎ 株式会社ジオコード 採用情報を見てみる]
[https://www.geo-code.co.jp/recruit/gclp/]