アクセシビリティとユーザビリティの違いは?注意点やSEO効果を解説

アクセシビリティとユーザビリティは、Webサイトを運営する上で欠かせない概念です。しかし、「アクセシビリティとユーザビリティの違いがよく分からない」「具体的に何をすればいいの?」といった悩みを持つWeb担当者の方は多いのではないでしょうか。

本記事ではアクセシビリティとユーザビリティの定義や違い、注意点などをご紹介します。SEOとの関係性も解説しているので、Webサイト運営の参考にしてみてください。

アクセシビリティとユーザビリティの定義

アクセシビリティ・ユーザビリティという言葉はさまざまな文脈で使われています。そのため、「言葉はよく聞くけれど、詳しくは知らない」という人もいるでしょう。まずはアクセシビリティとユーザビリティの定義を解説します。

アクセシビリティとは

アクセシビリティとは、「アクセスのしやすさ・利用しやすさ」を意味する言葉です。「アクセシビリティが高い」とは、環境や年齢、身体能力などにかかわらず、全ての人が製品・サービスを利用しやすい状態を指します。

中でも、Webに特化したアクセシビリティのことをWebアクセシビリティといいます。例えば、Webサイトを多言語化する、音声による自動読み上げサービスを提供する、分かりやすい日本語を使うなどもアクセシビリティを高める施策の一つです。Webアクセシビリティ向上のためには、高齢者や障がい者を含めたすべての人が、さまざまなデバイスや場所からアクセスでき、利用しやすいWebサイトやアプリケーションを作ることが重要です。

ユーザビリティとは

ユーザビリティとは、「利用者(ユーザー)にとっての使いやすさ・利便性」を表す概念です。具体的には、ユーザーが目的の情報を探したり、手続きをしたりするときにストレスを感じない操作性の良さ、分かりやすさなどを表します。ユーザーがWebサイトを訪れたときに、サイトの構造や現在位置をすぐに理解でき、あれこれ迷わずに最低限の操作で目的を果たせることが重要です。

ユーザビリティという概念を数値化するのは難しいものの、アクセス解析ソフトや解析サービスを使えば、サイト内の導線が想定どおりに機能しているか、ユーザーがつまずいている場所はどこかを確認できます。またユーザビリティを構成する要素の一つであるLPO(ランディングページ最適化)やEFO(入力フォーム最適化)などで、クリック率やコンバージョン率といった具体的な指標を確認するのも大切です。

アクセシビリティとユーザビリティの違い

ここまでアクセシビリティとユーザビリティについて解説してきましたが、二つの違いはどこにあるのでしょうか。

アクセシビリティとは、ユーザーが情報にたどり着き、内容を取得できるかどうかを表す概念です。一方ユーザビリティは、情報を取得できることを前提に、「使いやすいか、分かりやすいか」を表す概念であり、アクセシビリティとは区別されています。まずはアクセシビリティを確保した上で、いかにユーザビリティを高めるかが重要なポイントです。

アクセシビリティのよくある問題として、ユーザーが情報を取得できない、操作ができない、理解できないなどの状態が挙げられます。具体的には、画像に代替テキストがなく音声読み上げソフトでは理解できない、文字色と背景色のコントラスト比が低くて文字が読み取れないなどがあります。また、キーボード操作で開けない部分がある、動画にキャプションがなく音声なしでは内容が分からないといった不便さも、アクセシビリティが機能していないケースに該当するでしょう。

ユーザビリティの問題としては、使いにくさや分かりにくさが挙げられます。例えばメニューやパンくずリストがなく目的のページが見つけにくい、リンクの存在やリンク先が分かりにくい、文章に見出しや段落分けがなく読みにくいなどの問題があります。

アクセシビリティとユーザビリティの注意点

アクセシビリティとユーザビリティを理解する上で、注意しておきたいポイントがあります。一つはアクセシビリティとユーザビリティには共通点が多いこと、もう一つは定義や解釈が複数あることです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

共通点も多い

アクセシビリティとユーザビリティは区別された概念ですが、共通点は少なくありません。誰もがアクセスしやすいWebコンテンツを作ることは、ユーザビリティの向上につながります。

JIS(日本工業規格)の定めるアクセシビリティのガイドライン「JIS X 8341-3:2016」にある、いくつかの項目を見てみましょう。

  • すべてのページで一貫したナビゲーションを提供する
  • ページタイトルは内容が分かるものにする
  • ページには見出しを作り、構造化する
  • 動画には書き起こしテキストをつける
  • リンクには下線をつけ、リンク先の内容が分かるテキストにする
  • 文字と背景色とのコントラストを高めて読みやすくする
  • スクロールや画面切り替えの自動化は避ける
  • 画像には代替テキストを用意する
  • 動画、音声の自動再生をしない
  • キーボードで操作できるようにする
  • 入力項目やエラーメッセージを分かりやすくする

これらは高齢者や障がいのある人を含めたすべてのユーザーが、デバイスや知識の有無、支援技術などに関係なくWebコンテンツを利用できるように定められた項目です。アクセシビリティの確保は、高齢者や障がいのある人のみならず、全ての利用者のユーザビリティ向上にもつながるということが分かるでしょう。

※出典:ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)

複数の定義・解釈がある

アクセシビリティ・ユーザビリティの定義は複数あり、解釈も一つではありません。どれが正解、間違いというものではなく、どの定義であっても「ユーザーの利便性を高める」という目的は同じです。

アクセシビリティのガイドラインでは、Web技術の標準化を行う団体である「W3C」が策定したWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)が有名です。これはISO/IECの国際規格になっています。日本にも「JIS X 8341-3」という規格がありますが、内容はISO/IECの国際規格とほぼ同じです。

ユーザビリティにおいても、代表的な定義が二つあります。一つは国際標準化機構(ISO)による「ISO 9241-11」規格で、もうひとつはヤコブ・ニールセン博士の定義です。

それぞれに異なる定義・解釈がありますが、SEOにおいては「どの定義で解釈するか」はあまり重要ではありません。最も大切なのは、ユーザーの使いやすさを追求することです。

※参考:ウェブアクセシビリティ基盤委員会

※参考:ISO「ISO 9241-11:2018」

※参考:W3C. 「Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.1」

アクセシビリティ・ユーザビリティとSEOの関係性

これまで紹介してきたように、Webサイトのアクセシビリティを高めることはユーザビリティの向上につながります。それだけではなく、実はSEOにも効果的です。というのも、GoogleやBingなどの検索エンジンは、インターネット上を巡回する「クローラー」と呼ばれるロボットプログラムによって「検索順位を決めるための要素」を集めているからです。

あらゆるユーザーがアクセスしやすく使いやすいサイトは、検索エンジンに対してのアクセシビリティも高くなります。検索上位を狙うのであれば、クローラーにWebサイトの存在を伝えることと、サイト内の情報を効率良く収集してもらうことが欠かせません。

また、検索エンジンに「価値の高いページ」だと認識させるためには、ユーザビリティの向上も重要なポイントです。ページの読み込み速度が遅い、内部リンクが不足しているなどユーザビリティに問題があると、ユーザーの満足度は下がります。ページ滞在率や回遊率、コンバージョン率、リピート率などにも影響するため、検索エンジンからは価値の低いページだと認識されてしまう可能性があるのです。このように、アクセシビリティ・ユーザビリティの向上はSEOの面でも非常に重要です。

アクセシビリティ・ユーザビリティを高めて、SEOを有利に進めよう

アクセシビリティは、今やWebサイトに求められる基本的な品質です。そしてアクセシビリティを高める施策はユーザビリティの向上につながり、SEOにも良い影響を与えます。

アクセスをコンバージョンに導くためには、サイトデザインや導線を改善し、ユーザーにとって使いやすいWebサイトを作ることが大切です。自社での実施が難しい場合は、プロに相談するのがおすすめです。ジオコードの「UI・UXコンサルティング」サービスでは、SEOで集めたアクセスをコンバージョンにつなげる具体的な施策をご提案します。UI・UXコンサルティングの詳しい内容は次のページをご覧ください。

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