CPA改善はどこから?獲得数を落とさず単価を下げる見直しの順番

【監修】株式会社ジオコード Web広告事業 責任者
新井 政樹

CPAが高いとき、入札や予算を下げるだけでは獲得数も減りかねません。先に計測を点検し、不要な流入とページ内の離脱を減らすことが大切です。

本記事では、CPAが悪化した原因の調べ方と改善の順番を解説します。広告担当者が、獲得数や商談の質も確認しながら判断できる内容です。単価を下げること自体ではなく、事業に必要な成果を増やす視点で見直しましょう。

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CPA改善の前に成果と集計条件を揃える

CPAは、購入や問い合わせなどの成果を獲得するためにかかった単価です。改善に入る前に、何を成果として数えているかを確認しましょう。

CPAは広告費をコンバージョン数で割って求める

広告のCPAは、対象期間の広告費をコンバージョン数で割った値です。コンバージョンは、目的に合わせて設定した行動を指します。

以下は計算方法を示す仮定の例です。広告費が30万円、問い合わせが30件ならCPAは1万円となります。問い合わせが増えても広告費がそれ以上に増えれば、CPAは上がる点に注意しましょう。

媒体のCPAと、自社が管理する獲得原価は分けて考える必要があります。代理店手数料や制作費を含める場合は、その範囲を明記することが重要です。同じ名前の指標でも、費用の集計範囲が違えば比較は成立しません。

問い合わせと有効な商談を分けて確認する

広告管理画面の件数が増えても、営業の成果が増えるとは限りません。対象外の問い合わせが多い場合は、有効な成果の単価も調べましょう。

例えば、同じ広告費で問い合わせが増えても、受注数が減る場合があります。入力項目を減らした結果、営業対象外の連絡が増えるケースも考えられるためです。問い合わせ数、有効件数、商談数、受注数を順に確認すると判断しやすくなります。

購入を成果とする場合は、返品やキャンセルも確認の対象です。継続サービスでは、早期解約を含めて獲得した顧客の質を見ます。現場と成果の定義を共有し、安く集めやすい行動だけを評価しないようにしましょう。

重複計測・計測漏れ・成果の時間差を点検する

計測が崩れている状態では、改善すべき広告を見誤る恐れがあります。配信設定より先に、申込完了までの計測を確かめましょう。

フォーム送信を試し、完了時の記録と顧客管理の件数を照合します。ボタンのクリックだけで成果を数えていないかも重要な確認点です。再読み込みによる重複や、別ドメインへの移動時の漏れも点検してください。

広告をクリックしてから申し込むまでには時間差があります。直近期間は成果が出揃わず、CPAが高く見える場合もあるため注意が必要です。計測を修正して報告件数が減ったときも、実際の集客悪化とは区別しましょう。

CPAをCPCとCVRに分けて原因を調べる

CPAだけでは、クリック単価とページ内の離脱のどちらが問題か分かりません。同じ条件で集計したCPCとCVRを見れば、調査の出発点を絞れます。

CPA=CPC÷CVRは同じクリックを分母にした場合に使う

CPCは広告費をクリック数で割った単価です。CVRはここでは、コンバージョン数を同じクリック数で割った割合を使います。

この条件なら「CPA=CPC÷CVR」が成り立ちます。割合は小数に直し、対象の広告費・成果・期間も揃えましょう。

以下は仮定の計算例です。CPCが200円、クリック基準のCVRが2%なら、CPAは1万円となります。CVRが2.5%へ上がりCPCが同じなら、CPAは8,000円です。

アクセス解析のセッション基準CVRを、そのまま式に入れてはいけません。広告クリック数とセッション数は同じとは限らないためです。動画視聴経由の成果なども含む場合は、対象の定義を先に確認してください。

単価上昇と転換率低下を別々に確認する

CPCが上がった場合と、CVRが下がった場合では確認箇所が異なります。両方が変化しているときは、変化が大きい項目から調べましょう。

CPC上昇時は、競合状況、配信先、検索語句、入札変更を確認します。CVR低下時は、流入の質、LP、フォーム、商品条件が主な確認先です。表示回数やクリック率だけで原因を決めつけず、成果まで追ってください。

CPCが安くても、申込意欲の低い流入が増えればCPAは悪化します。反対に、CPCが上がってもCVRが十分に改善すればCPAは下がる場合があります。指標ごとの良し悪しと、最終的な成果を区別することが大切です。

平均値を媒体・商品・新規顧客に分けて見る

全体のCPA変化は、配信先の構成が変わっただけの場合もあります。媒体や商品ごとに分けて、実際に悪化した範囲を探しましょう。

指名検索と一般検索、新規顧客と既存顧客は別に見ると役立ちます。低単価の指名検索が減れば、各施策が悪化していなくても全体CPAは上がり得るためです。比較時は予算配分やセールの有無も記録しておきます。

細分化しすぎると成果が少なくなり、偶然の影響を受けやすくなります。まず事業上の役割が異なる単位で分ける方が実務的です。少数のデータから一律に停止対象を決めないようにしましょう。

獲得数を守るには見直しの順番が重要

獲得数を落とさずにCPAを下げられるかは、現在の無駄や離脱の大きさ次第です。成果を生む配信を残しながら、改善余地の大きい順に着手しましょう。

最初に計測不具合と明らかな対象外流入を直す

成果が正しく測れていない場合は、計測の修正を優先します。次に、自社が提供できない内容への広告配信を減らす順番です。

法人専用サービスに個人向けの検索が混ざる場合などが該当します。対応していない地域や、販売終了商品の流入も確認しましょう。対象外と判断した理由を残せば、過剰な除外を防ぎやすくなります。

成果がない検索語句をすべて消す方法には注意が必要です。検討期間の長い商品では、後日成果につながる可能性が残ります。費用、クリック数、検索意図、成果までの時間を合わせて判断してください。

次に広告とLPのずれや申込時の障害を減らす

流入を減らさずに改善したいなら、クリック後の取りこぼしが重要です。広告の約束とLPの内容が一致しているかを確認しましょう。

広告で料金を訴求しているのに、LPで費用が分からない状態は見直し候補です。対応範囲や申込条件が途中で初めて分かる場合も、離脱につながり得ます。見せ方を変える前に、判断に必要な情報が揃っているか確かめてください。

フォームのエラーやスマートフォンで押せないボタンは先に直します。重大な不具合は、A/Bテストで長く放置する対象ではありません。修正前後の動作と成果計測を確認し、再発も防ぎましょう。

予算配分と入札は獲得余地を見て調整する

低いCPAの施策に予算を移しても、同じ単価で件数が増えるとは限りません。追加配信で獲得できる成果を確認しながら段階的に調整します。

すでに需要を取り切っている指名検索では、増額しても伸びにくい場合があります。一般検索や動画など、将来の指名につながる接点も別の役割として評価しましょう。単純な単価順の配分では、後から獲得数が減る恐れがあります。

予算を削る前に、残すべき件数や商談数の下限を決めることが重要です。効率と事業規模のどちらを優先する局面か、関係者で揃えてください。両立が難しい場合は、目標や商品条件の見直しも必要となります。

広告側の改善は検索意図と訴求から進める

広告側では、誰に何を伝えるかの見直しが基本です。CPCを下げるだけでなく、申し込みにつながる流入を増やす視点で進めましょう。

検索語句・キーワード・配信地域を整理する

登録したキーワードと、実際に検索された言葉は区別して確認します。検索語句から意図のずれを見つけ、除外や訴求の修正へつなげましょう。

用途や業種を含む具体的なキーワードは、意図を読み取りやすい候補です。ただし、検索量が少ないことや競合がいることもあり、低単価とは限りません。単語数より、商品との関連性や問い合わせ内容を重視してください。

地域や時間帯も、自社の成果を根拠に調整する必要があります。夜間に比較し翌日申し込む人もいるため、営業時間外を一律に止めるのは早計です。配信範囲と受付体制を分けて考えると、機会を逃しにくくなります。

広告文と素材は対象・便益・条件を揃える

広告では、対象者が自分向けの提案だと分かることが重要です。興味を引くだけでなく、利用条件も伝えて期待のずれを減らしましょう。

例えば法人向けなら、対応業種や導入条件を明確にします。価格を強調する場合は、LPでも同じ条件で費用を説明する必要があるためです。動画や画像でも、見た目の変更と訴求の変更を分けて検証してください。

検索広告の品質スコアは、改善点を探す診断に使えます。ただし、スコア自体がオークションの直接の評価材料ではありません。点数だけを追わず、広告の関連性やLPの使いやすさを見直しましょう。

アカウント構造は管理したい目標から決める

キャンペーン構造は、細かいほどよいわけではありません。予算や成果目標を分ける必要と、データを集める必要を両方考えましょう。

利益率や対象地域が異なる商品は、別管理が役立つ場合があります。一方、似た条件の広告を細分化すると、データが分散して判断しにくくなる点が課題です。分割する理由を説明できない区分は、整理の候補になります。

社内と代理店で見る単位を揃えることも欠かせません。構造を変えた日と変更内容を残し、前後で同じ範囲を比較できるようにします。設定変更の数よりも、改善理由が分かる運用を目指してください。

LPとフォームの改善でCVRを高める

LPOは、広告などから訪れたページを改善する取り組みです。情報不足と操作の負担を分けると、着手箇所を選びやすくなります。

LPでは料金・根拠・次の行動を分かりやすくする

LPでは、広告に関心を持った人が比較に必要な情報を探します。何のサービスで、誰に向き、次に何をすればよいかを明確にしましょう。

料金、対応範囲、導入までの流れは、検討を進める材料です。事例や実績を掲載するときは、自社と近い条件か判断できる背景も添えます。根拠のない強い表現で期待を高めるより、判断材料の不足を埋める方が建設的です。

ヒートマップは、読まれ方や操作の手掛かりとして活用できます。離脱位置だけで理由を断定せず、営業への質問や問い合わせ内容とも照合してください。流入意図ごとにLPを分ける場合は、管理負担も見込んで進めます。

フォームは入力負担と獲得後の対応を両立する

フォーム改善では、入力を妨げる箇所から確認します。項目の削減だけを目的にせず、その後の営業対応も考慮しましょう。

必須項目の必要性、エラー表示、入力例、スマートフォンの操作性が主な確認点です。途中で入力内容が消えたり、送信後の状態が分からなかったりする問題も修正候補になります。利用者が迷う箇所を実際の操作で確かめてください。

電話番号などを任意にする場合は、営業への影響も確認が必要です。申込数が増えても連絡不能が増えれば、有効成果の単価は下がらない可能性があります。改善後は入力完了率と有効率を合わせて見ましょう。

目標CPAは利益と獲得数から設定する

他社の平均CPAだけでは、自社が許容できる単価を決められません。利益構造と成果から受注までの割合を基に、目標を設定しましょう。

粗利・受注率・継続価値から許容額を考える

受注で得られる利益と、問い合わせから受注する割合が判断の土台です。継続購入を見込む場合も、確認できる実績を基に計算しましょう。

以下は考え方を示す仮定の例です。受注当たりの粗利が10万円、問い合わせからの受注率が10%とします。問い合わせ当たりの期待粗利は1万円ですが、これを広告費に全額使えるとは限りません。

営業費、制作費、運用費や必要な利益を差し引いて予算を考えます。継続価値を使う場合は、解約率や回収までの期間も確認が必要です。売上だけを基に高い許容CPAを置くと、資金負担を見落としかねません。

自動入札の目標を下げすぎない

目標CPAは、各成果を必ずその金額以下で獲得する保証ではありません。低く設定しすぎると、配信機会や獲得数が減る場合があります。

Google 広告では、目標CPAに当たる目標アクション単価を設定できます。過去の実績、予算、成果の質を確認し、無理のある値を避けましょう。変更後は、成果が反映される時間も含めて評価することが大切です。

上限CPCを設定する方法は、すべての入札方式で使えるわけではありません。利用できる方式でも、上限が自動入札の動きを制限する可能性があります。費用を抑える手段として一律に採用せず、目的と仕様を確認してください。

データが少ない場合は判定を急がない

成果が少ない広告では、少数の申込でCPAが大きく変動します。日別の数字だけで変更を繰り返さず、比較に足る期間を確保しましょう。

必要な観測期間は、流入量や成果までの時間によって異なります。決まった日数だけ待てば判断できるとは限らない点に注意が必要です。成果が少ない場合は、対象をまとめて見る方法や操作確認も組み合わせます。

ボタンのクリックなどの中間行動は、問題箇所を探す補助に有効です。ただし、それを受注と同じ成果に置き換えると、評価の意味が変わります。最終成果を測りつつ、途中の行動で改善仮説を補いましょう。

CPA改善後は件数と質も合わせて評価しよう

改善後はCPAだけでなく、獲得数と有効な成果が維持できたかを確認します。下がった単価が、事業にとって価値のある改善かを確かめましょう。

変更履歴には、対象、仮説、実施日、評価指標、判断予定を残します。比較時は曜日、季節、セール、予算の違いも確認が必要です。同時に複数の変更をした場合は、個別の施策効果と全体の結果を分けて扱ってください。

社内で原因を絞れない場合は、計測からLPまで診断できる支援先に相談しましょう。その際は広告費やCPAだけでなく、商談数、受注率、過去の変更履歴も共有します。獲得数を守る条件を先に決めることが、改善の出発点です。