リスティング広告はSEOに影響する?順位との関係と併用でできること

【監修】株式会社ジオコード Web広告事業 責任者
新井 政樹

リスティング広告を出すこと自体で、Googleの自然検索順位が上がるわけではありません。一方、広告で得た情報をSEOやWebサイトの改善に活かすことは可能です。順位への直接的な影響と、併用による学びを分けて解説します。

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リスティング広告の出稿自体はSEOの順位を上げない

Googleは、広告プログラムへの加入が自然検索の順位を左右しないと説明しています。広告費の増額を、SEO順位を上げる方法として考えないようにしましょう。

SEOとは、検索する人に必要な情報を届けるため、Webサイトを整える取り組みです。この記事では、主にGoogleの自然検索と検索広告の関係を扱います。

広告枠と自然検索では表示の仕組みが異なる

検索広告と自然検索は、同じ検索結果に表示されても別の仕組みです。広告枠の掲載位置と、自然検索での掲載順位を混同しないことが大切です。

検索広告は、入札や広告の品質、検索時の状況などを踏まえて掲載が決まります。広告費を払えば、希望する位置に固定して出せるわけではありません。

自然検索では、検索内容との関連性などを基にページが選ばれます。Googleは、自然検索の順位を上げるために金銭を受け取らないと明示しています。

広告運用の成果を説明するときも、どちらの掲載位置なのかを明確にしましょう。報告の言葉をそろえるだけでも、社内の誤解を減らせます。

出稿や停止と同時に順位が変わっても原因は断定できない

広告を始めた時期に順位が上がっても、出稿が原因とは限りません。同じ時期に起きた別の変更を確認する必要があります。

  • ページの内容やタイトルを修正していないか
  • 検索する人や、検索語句の構成が変わっていないか
  • 競合ページや検索結果の表示に変化がないか
  • インデックスやWebサイトの不具合が解消していないか

広告を止めて流入が減っても、広告経由の訪問が減っただけかもしれません。自然検索の順位、表示回数、クリック数を個別に確認してください。

認知や直接訪問の増加を順位上昇の証拠にしない

広告をきっかけに会社を知り、後から訪問する人は考えられます。ただし、その行動だけで自然検索順位が上がるとは判断できません。

指名検索は、会社名や商品名を含む検索です。広告開始後に指名検索が増えても、広報や営業活動、季節要因も関係し得ます。

また、解析ツールの直接流入には、参照元を判別できない訪問も含まれます。直接流入の増加を、そのまま認知度やGoogleの評価の上昇と読み替えないようにしましょう。

確認したいのは、認知から問い合わせや購入につながったかという事業上の変化です。順位との因果関係を推測するより、成果の増減を調べましょう。

リスティング広告とSEOの違いを目的に合わせて整理する

施策を選ぶときは、どちらが優れているかだけで考えないことが重要です。接点を作りたい相手、必要な時期、使える予算から役割を決めましょう。

検索結果の見え方は、語句や端末によって変わります。広告と自然検索のクリック率に、すべての場面に共通する優劣を置くことはできません。

費用と成果が出るまでの時間は違う

検索広告は、設定や審査などの条件が整えば配信を始められます。ただし、配信の開始と、十分な成果の獲得は別です。

SEOは、コンテンツや技術面を改善しても、反映まで時間がかかる場合があります。実施した施策が必ず上位表示につながるわけでもありません。

比較項目リスティング広告SEO
費用主にクリックなどに応じた媒体費と運用費調査、制作、改修、保守などの費用
開始と反映配信準備と審査を経て掲載を目指す改修後の認識や評価に時間が必要な場合がある
調整する範囲予算、対象地域、語句、訴求など情報の内容、構成、技術面など
停止後停止した広告の新たな接点は減る作成した情報は残るが順位や流入は変わり得る

自然検索のクリックそのものに媒体費がかからなくても、SEOの作業は必要です。社内工数も含めて、継続できる計画を立ててください。

検索意図と購入までの距離をそろえる

広告にもSEOにも、検索する人の目的に合う情報が必要です。語句の検索回数だけで、優先順位を決めないようにしましょう。

例えば、用語の意味を知りたい人と、見積もりを取りたい人では求める情報が異なります。商品ページへ誘導するのか、比較や解説を届けるのかを考えてください。

購入意欲が高い語句は広告、情報収集の語句はSEOと機械的に分ける必要はありません。獲得できる成果、制作の負担、必要な接点から組み合わせを検討できます。

広告とSEOの併用でできる情報収集と改善

併用の価値は、広告の結果をWebサイトの改善に活かせることです。広告費に順位上昇の効果を期待するのではなく、学びを次の施策へつなげましょう。

広告と自然検索では、見ている人や表示条件が異なります。広告で得た結果は、SEOで検証する仮説として扱うことが大切です。

検索語句から顧客の悩みと不足情報を見つける

広告に登録したキーワードと、利用者が入力した検索語句は異なります。検索語句レポートを使うと、実際の関心を探る材料が得られます。

問い合わせにつながった語句を、商品条件や困りごとごとに整理しましょう。料金、対応地域、導入の手間など、Webサイトで説明が不足しているテーマを探せます。

  • 成果につながった語句と、その意図
  • クリックされても成果が少ない語句
  • 対象外の相談を生みやすい表現
  • 既存ページに答えが見つからない質問

広告の検索語句レポートには、すべての検索が表示されるわけではありません。広告が出なかった需要もあるため、顧客への聞き取りなどと合わせて考えてください。

広告文の反応を見出しや説明の仮説にする

広告文を変えると、どの伝え方に反応があるかを調べられます。その結果は、ページの見出しや説明を考える材料です。

例えば、価格を前面に出す案と、導入支援を伝える案を比べる方法があります。クリックだけでなく、その後の問い合わせ内容も確認しましょう。

反応が良い広告文を、そのままSEO用のタイトルへ移すとは限りません。自然検索の読者にも合うか、ページ全体の内容を正しく表しているかが重要です。

Googleの検索結果では、設定したタイトルがそのまま表示されない場合もあります。広告での結果と、自然検索で実際に表示された内容を分けて確認してください。

LPの改善をほかの流入にも活かす

ランディングページは、広告などをクリックした後に開くページです。以降はLPと呼び、情報と操作の両面を確認します。

広告の訴求と説明がずれている、料金が分からない、入力が難しいといった問題を探しましょう。改善内容は、自然検索から訪問する人にも役立つ可能性があります。

ただし、広告用LPと自然検索の流入ページが違えば、利用状況も変わります。改善を広げる前に、ページごとの目的や読者を確かめてください。

広告用LPを公開しただけで、SEOに役立つページが増えるわけではありません。自然検索でも届けたい内容なら、情報の独自性や検索意図への対応を別に検討します。

自然検索で届きにくい需要を広告で補う

新しい商品や提供地域では、自然検索からの接点が十分でない場合があります。広告で反応を確かめながら、必要な情報を整える方法が考えられます。

期間が限られる告知や、販売を強めたい商品も検討対象です。ただし、需要があるか未確認の段階で、大きく予算を増やすのは慎重に判断しましょう。

反応があったテーマは、顧客の疑問に答えるページへ発展させられます。検索結果と問い合わせ内容を確認し、広告とSEOで共通して伝えるべき情報を整理してください。

広告と自然検索の成果を混同しない測り方

併用の評価では、媒体別の数値と事業全体の成果を分けます。数字を単純に足すと、同じ成果を重ねて数えるおそれがあるためです。

広告を見た人が、後から自然検索で訪問して購入することもあります。どの接点へ成果を割り当てるかによって、レポートの見え方は変わります。

広告と自然検索で確認するデータを分ける

広告管理画面とSearch Consoleは、見る目的が異なります。同じ名称の指標でも、対象や集計条件を確認して使いましょう。

確認先主に見る内容注意点
広告管理画面広告費、クリック、計測した成果対象の成果と集計期間をそろえる
Search Console自然検索の表示、クリック、掲載順位語句、ページ、端末を分けて見る
解析ツール流入後の行動や成果への接点参照元や帰属の設定による差がある
受注・顧客管理重複を除いた商談、購入、売上広告や解析との照合方法を決める

Google 広告には、検索広告とオーガニック検索を併せて見るレポートもあります。Search Consoleとの連携が必要で、表示やクリックの関係を考える補助になります。

ただし、同時表示の結果だけで広告の増分効果を証明することはできません。何が観測でき、何が分からないかを分けて扱ってください。

指名語句と一般語句を分ける

指名語句と一般語句では、検索する人の商品理解が異なります。ひとまとめにすると、成果が変わった理由を見誤りやすくなります。

一般語句は、会社名を含まない商品カテゴリや課題に関する語句です。広告の予算配分やSEOの評価を、この区分で整理してみましょう。

指名検索の割合が増えると、全体の成果が良く見える場合があります。新しい顧客との接点が増えたか、既存の需要を多く拾ったかを確認することが必要です。

自然検索の平均順位も、集計する語句の構成で動きます。全体の平均だけで判断せず、同じ語句とページの変化を見てください。

広告の成果と追加で増えた成果を区別する

広告経由と記録された成果が、すべて広告による上乗せとは限りません。広告がなければ自然検索から購入した人が含まれる可能性もあります。

ここでいう増分効果は、その広告があることで追加された成果です。通常の成果配分のレポートだけでは、広告がなかった場合までは観測できません。

比較のため、仮に広告を減らした際の変化を考えます。広告経由の購入は減っても、自然検索の購入が増え、合計が変わらない場合があるでしょう。

反対に、自然検索では補えず、合計の購入が減ることもあり得ます。どちらかを決めつけず、重複を除いた総成果と費用を確認してください。

季節や改修の影響を記録する

施策の前後を比べるだけでは、別の要因が混ざりやすくなります。変えた内容と、その期間に起きた出来事を記録しましょう。

  • 商品価格、在庫、販売条件の変更
  • Webサイトの改修と、計測設定の変更
  • 季節需要、休業日、広報や営業の施策
  • 検索結果や競合広告の変化

単純な前後比較は、因果関係を断定するものではありません。判断に必要な成果数や購入までの期間も踏まえ、結果の確かさを説明してください。

自社に合う併用方針と予算配分を決める

広告とSEOの予算は、固定の比率より事業の状況から考えましょう。成果が必要な時期と、社内で継続できる作業量も判断材料です。

併用には、学習を共有できる利点があります。その一方で、担当者間の調整や制作の費用が増える点にも注意してください。

短期の獲得と継続的な情報整備を分けて計画する

近い時期に問い合わせを増やしたいなら、広告の検証を計画できます。並行して、顧客が比較検討に使う情報を整えることも重要です。

広告費だけを確保し、LPや計測を準備できなければ検証が難しくなります。SEOでも、記事制作だけでなく既存ページの改修や更新が必要です。

運用費、制作費、社内工数を含めて配分を考えましょう。対応できる人数や受注の余力も確認し、集客を増やす時期を調整してください。

SEOで上位でも広告を続けるかは検証する

自然検索で上位だから、広告が必ず不要になるわけではありません。検索結果の状況と、広告による追加の成果を確認して判断しましょう。

競合広告の表示、端末別の見え方、告知したい内容によって役割は変わります。反対に、広告が自然検索のクリックを置き換えている可能性も考慮します。

対象を絞った予算変更や、比較可能な条件を使った検証が候補です。全面停止で大きな機会損失が出ないよう、影響と戻す条件を事前に決めてください。

検証期間中は、広告とSEOの大幅な変更を重ねないようにしましょう。総成果と費用の変化を見て、継続、縮小、拡大を判断します。

担当者間で同じテーマと成果を共有する

広告とSEOの担当が別でも、顧客の疑問は共有できます。会議では数値の報告だけでなく、次に直す内容まで決めましょう。

  • 広告で見つかった需要と、SEOで届いている需要
  • 不足しているページや説明
  • 対象外の問い合わせを減らすための表現
  • 変更する担当者、確認する指標、見直す時期

広告側はクリックや獲得単価、SEO側は順位だけを見ると、目的がずれます。共通の成果を商談や購入に置き、施策ごとの役割を確認してください。

順位への直接効果を期待せず、併用の成果を確かめる

リスティング広告の出稿自体は、Googleの自然検索順位を上げません。併用では、顧客理解とページ改善に情報を活かすことが重要です。

まずは広告と自然検索のデータを分け、指名語句と一般語句を整理しましょう。そのうえで、総成果と費用を見ながら役割を見直してください。

学んだ内容を実際の改善につなげ、結果を確認することで、併用の価値を判断できます。広告費の増額と順位上昇を結び付けず、自社の事業に役立つ施策を選んでいきましょう。